蛾の歳時記

1 月  一月といったらやっぱりフユシャクかなあ。ほかに蛾はいないもの。フユシャクにもいろいろ種類があるけど、僕としてはウスバフユシャクを選ぶかな。以前、ヤマウスバフユシャクに似た個体が一杯いて、毎日採集したことがあるから。
2 月  二月も昆虫はいないからなあ。なかなか思いつかない。フユシャクの仲間か、ハイイロフユハマキぐらいかな。ここはひとつハイイロフユハマキを選んでおこう。この蛾は以前、フユシャクと思って、図鑑で探し回って、なかなか見つからなかったという苦い思い出があるんだ。
3 月  三月は啓蟄だ。キリガの仲間が続々とでてくるし、フユシャクのなかのシロフフユエダシャクなども多く見られる。いろいろな蛾が出始めるけど、目立つ蛾といえばやはりこれかな。トビモンオオエダシャク。とてもグロテスクなんだ。僕はいつも「春の使いとしてはあまりにもグロテスクな」という形容詞をくっつけているんだけど。壁にとまっていると遠くから、「あいつ!」と分かるような蛾だ。
4 月  四月は目立つ蛾が多くて、選ぶのに困るねえ。一種類だけというのは難しいな。やはり、春の女神エゾヨツメ、怖い感じのオオシモフリスズメ、目の模様の気持ちが悪いイボタガなんかが4月の蛾としてあげられるだろうな。これだけで十分って気がするが、春の華やかさには欠けるなあ。
5 月  五月はシャクガの月だ。いろんな種類のシャクガが出てくる。でも、この月だけって言うと意外に思いつかないなあ。六月にかかるけどアサマキシタバなどはマンションでは目立つ蛾のひとつだ。また変えるかもしれないが、とりあえずこれを選んでおこう。
6 月  六月はあらゆる蛾がわっと発生するので、これといってどれを選んでいいかわからない。六月終わりごろから木陰をわんさと飛ぶ蛾といえばマイマイガだろうね。あまり六月というわけでもないけど。こいつの毛虫はすごいね。ともかく木という木にびっしり付いていて、林を通るのが怖いくらいだから。それがみんな成虫で飛び回るんだから、やはり多いはずだ。
 でもこうやって半年間の蛾を並べてみると、やはり蛾はぱっとしないねえ。

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