走査型電子顕微鏡で観察

 もう少し詳しく見るために高倍率が使える走査型電子顕微鏡を使いました。この顕微鏡は試料に細い高速の電子ビームを当て、少しずつ場所を変化させながら、放出される二次電子を集めて像をつくります。ディディウスモルフォの翅を見てみると、左の写真のように、光学顕微鏡で見えた上層鱗と下層鱗がはっきりと見えます。がっちりした下層鱗の上に互い違いにやや大きい上層鱗が並んでいることが分かります。上層鱗がめくれ上がっているのは、あまりに薄いので電子を当てることで変形してしまったせいです。また、薄い上層鱗を電子が通り抜けるために、上層鱗が透けて下層鱗が見えてしまっています。

 もう少し拡大してみたのが右の写真です。リッジがはっきりと見えるようになりました。これで2300倍です。リッジは鱗粉に沿って平行に整然と並んでいます。リッジは下層鱗では細かく、上層鱗では粗く並んでいることが分かります。実際に測って見ると、下層鱗では0.7ミクロン、上層鱗では1.5ミクロン間隔になっています。こんなにリッジがきれいに並んでいると、きっとCDやDVDと同じように、並んだリッジが回折格子になり色が付いているのではと思われるのではないでしょうか。
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