早春のキリガ
 

 キリガは晩秋から早春にかけて見られるヤガ科の1群の蛾です。キリガという名前は山本義丸氏によると、樹木の葉を食べる幼虫「キリムシ」が名前の元となっているようです。1958年頃相次いで発行された図鑑や目録などで和名の整理が行われたとき、分類上近縁のものがなるべく同一の語尾を持つように改称した結果生まれた名前で、ヨトウガ亜科の中のOrthosia属とその近縁属、セダカモクメ亜科の中のConistra属とその近縁属、カラスヨトウ亜科の中の Cosmia属とその近縁属に「キリガ」という呼称を与えられたそうです。しかし、分類群で名前を統一したため、アヤモクメキリガのように草本を食べる種類にもキリガという名前がつけられることになってしまった。

 キリガはこのように樹木と深く関わっているため環境の指標ともなり、蛾の仲間では比較的多く研究されています。しかし、発生時期が晩秋から早春に集中するため、採集を冬季にも行わなければならず、系統的な分布のデータは少ないようです。キリガの採集は通常糖蜜採集によって効率よく行われることが知られているが、灯火にも集まりますので、明かりの下でも観察することができます。早春に大阪北部で見られるキリガを紹介します。いずれもヨトウガ亜科の蛾です。

 
ホソバキリガ
ブナキリガ
アカバキリガ
カシワキリガ
スモモキリガ
スギタニキリガ
シロヘリキリガ
カバキリガ
クロスジキリガ
クロミミキリガ
ケンモンキリガ
キンイロキリガ
マツキリガ
チャイロキリガ
 
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